Still life - 八百万の神

BankART AIR オープンスタジオ/横浜/2021

静物画のようにセットされた静物のそれぞれがピンホールカメラとなっており、見る対象であったはずのものから見られている。マッチ箱、マグリットの画集、Amazonの段ボール箱、のど飴の缶、りんご、など。ピンホール写真は長時間露光になるので、人間をはじめとする動くものは映らない。まるで静物の時間の流れの中に人間は存在しないことを示唆するかのように。

生命を宿した静物(Still life)は、世界や私たちを内包しながら、時間を超えて静かに世界を見守っている。

日本では古来から、日常のあちらこちらに神様がいるという。八百万の神(やおよろずのかみ)の視線は、現代都市にあまた仕掛けられた監視カメラのそれとはだいぶ異なる。監視カメラの背後にあるのは監視する他者の視線だが、八百万の神の視線は、八百万の神を見出す我々の内側にある。


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