みえるものとみえないもの
JR四国宇和島運転区扇形車庫/愛媛/2021
JR四国が所有し、現在存続の有無が問われている宇和島運転区扇形車庫は、明治時代にイギリスから輸入された鉄道レールを柱材に転用して1941年(昭和16年)に建てられた。この建物と敷地を市⺠の⽂化交流と憩いの場へと再⽣することを⽬指した活用事業のひとつとして開催された展覧会。(主催:床下土風、企画:新津保朗子)
宇和島市内をフィールドワークして見つけた建物自体を暗転して小さな穴を設けてピンホールカメラにし、部屋の壁サイズ(3.6×2mと2.7×2.3m)でピンホール写真を撮影し、扇形車庫内に展示。同時に、車庫内に残る元溶接室の小屋を暗転してピンホールカメラに仕立て、来場者に体験してもらった。元溶接室のピンホールは、建物の壁の木の節が取れて自然にできた穴を利用することで、まさに建物自体が眼となり、この建物がみつめてきた風景を来場者が目にすることとなった。